半導体材料とは?――シリコン・SiC・GaN・GaAsの違い

代表的な半導体材料であるSi、SiC、GaN、GaAsについて、得意な用途、物性、製造上の違いを比較する。

公開 2026/8/28 確認 2026/8/28 読了 8分 入門 執筆: 知識図書館 編集部

この記事の結論

  • Siは製造基盤と酸化膜の扱いやすさに優れ、最も広く使われる
  • SiCとGaNは高耐圧・高温・高周波用途で強みを持つ
  • GaAsは電子移動度や発光特性を生かし、高周波・光用途で使われる

まず結論

半導体材料にはそれぞれ得意分野があります。最も広く使われるのはシリコンですが、電力変換、高周波、発光などではSiC、GaN、GaAsが選ばれます。

材料主な強み代表用途
Si成熟した製造技術、良質な酸化膜、低コストCPU、メモリ、センサー、一般的な電力素子
SiC高耐圧、高温動作、熱を逃がしやすいEVインバーター、鉄道、産業電源
GaN高速スイッチング、高周波、高い破壊電界急速充電器、基地局、RF、LED
GaAs高い電子移動度、直接遷移型高周波増幅、光通信、LED、太陽電池

シリコンが主流になった理由

Siは地殻中に豊富で、大口径かつ高品質な単結晶ウェハを量産できます。さらに、表面を酸化すると安定したSiO₂を作れることが、MOSFETやICの発展に大きく寄与しました。

長年蓄積された製造装置、設計資産、品質管理、供給網も大きな強みです。単純な物性値だけで材料の優劣は決まりません。

SiC――高耐圧と高温に強い

SiCはシリコンと炭素からなる化合物半導体です。Siより禁制帯が広いワイドバンドギャップ半導体で、高い電界に耐えられます。薄い層で高耐圧を実現しやすく、オン抵抗や電力損失を下げられる場合があります。

一方、結晶成長やウェハ加工が難しく、欠陥、コスト、ゲート酸化膜界面などの管理が重要です。

GaN――高速・高周波が得意

GaNもワイドバンドギャップ半導体です。高い破壊電界と高速な電子輸送を生かし、高周波動作や高速スイッチングに向きます。電源を小型化しやすく、通信分野でも利用されます。

GaNはSi、SiC、サファイアなど別材料の基板上へ成長させる場合が多く、格子や熱膨張の違いによる応力・欠陥の制御が課題になります。

GaAs――高周波と光

GaAsは電子が高速に移動しやすく、高周波デバイスに適します。また、電子と正孔の再結合で光を出しやすい直接遷移型であるため、発光・受光デバイスにも使われます。

Siに比べてウェハが高価で割れやすく、大規模なデジタルICの主流にはなっていませんが、用途を絞ると大きな強みがあります。

材料選びは用途と製造を同時に考える

材料選定では耐圧、動作周波数、温度、損失、放熱だけでなく、ウェハ径、欠陥密度、加工性、信頼性、コスト、供給能力まで考えます。同じ材料でも結晶構造やデバイス構造によって性能は異なります。

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