半導体パッケージとは?――チップを接続・保護し、熱を逃がす仕組み
半導体パッケージの役割、基本構造、従来型からWLP、2.5D・3D、Chipletまでの全体像を整理する。
この記事の結論
- パッケージはチップの保護、電気接続、電源供給、放熱、機械的支持を担う
- 端子数、速度、電力、サイズ、コストによって適した構造が異なる
- 先端パッケージでは複数チップの高密度接続がシステム性能を左右する
まず結論
半導体パッケージは、裸の半導体チップを箱へ入れるだけの工程ではありません。主に次の役割を担います。
- チップと外部基板を電気的に接続する
- 電源と信号を必要な場所へ届ける
- 発生した熱を外部へ逃がす
- 湿気、汚染、衝撃、応力からチップを守る
- 基板へ実装できる形と端子を与える
パッケージの配線や熱設計が不十分なら、チップ単体の性能が高くても製品として能力を発揮できません。
基本的な構成
代表的なパッケージは、半導体チップ、チップを載せる基板またはLead Frame、電極接続、封止材、外部端子から構成されます。
チップの電極とパッケージ側は、細い金属線を使うWire Bondingや、チップを反転してBumpで接続するFlip Chipなどで結ばれます。外側にはLead、Pad、Ballなど、プリント基板へ接続する端子を作ります。
パッケージが担う五つの設計
| 観点 | パッケージの仕事 |
|---|---|
| 電気 | 信号・電源・Groundを低損失で接続する |
| 熱 | Junctionから外気や放熱器まで熱経路を作る |
| 機械 | チップを固定し、振動や外力から守る |
| 環境 | 湿気、薬品、汚染物質の侵入を抑える |
| 製造 | 搬送、検査、基板実装ができる形にする |
高速信号では配線の抵抗、容量、Inductance、反射、Crosstalkが問題になります。大電力では熱抵抗、接合部温度、材料の熱膨張差が重要です。
主な方式の地図
従来型パッケージ
DIP、QFP、QFN、BGAなどです。端子形状と内部接続方法に多くの種類があり、実績、コスト、実装性に強みがあります。
Wafer Level Packaging
Wafer状態で再配線や端子形成を進め、切り分け後のPackage寸法をチップに近づけます。小型化に向きますが、端子を配置できる面積に制約があります。
Fan-Out
チップの外側まで再配線領域を広げ、端子数と配置自由度を高めます。Wafer形状で加工するFOWLPと、Panel形状で加工するFOPLPがあります。
2.5D・3D実装
2.5DはInterposerなどの上で複数チップを高密度接続します。3D実装はチップを縦に積み重ねます。短い配線と高帯域化に有利ですが、接合、放熱、検査が難しくなります。
Chiplet
一つの巨大チップへ全機能を載せず、機能ごとの小さなチップを組み合わせます。異なる製造プロセスを使い分けられますが、接続規格、設計分割、試験、熱設計が重要です。
パッケージ方式は何で選ぶか
端子数、信号速度、消費電力、放熱、製品寸法、信頼性、生産数量、組立設備、コストを総合して選びます。高密度な方式が常に最適とは限りません。成熟したQFPやQFNが用途に最も適する場合もあります。
よくある誤解
- Packageはチップを保護する樹脂だけ:配線、電源、信号、熱、機械支持を含むシステムです。
- 小さいPackageほど高性能:端子、熱、実装、信頼性とのバランスが必要です。
- 先端Packageなら微細化は不要:チップ内微細化とPackage内高密度接続は補完関係です。
下層記事
関連する記事
DIP・QFP・QFN・BGAとは?――従来型半導体パッケージの違い
代表的な半導体パッケージであるDIP、SOP、QFP、QFN、BGAの端子構造、長所短所、用途を比較する。
WLPとは?――ウェハ状態で端子と再配線を作るパッケージ技術
Wafer Level Packagingの基本構造、Fan-In WLP、製造工程、小型化の利点と端子数・信頼性の制約を説明する。
FOWLPとは?――チップ外側へ再配線を広げるFan-Out技術
Fan-Out Wafer Level Packagingの再構成ウェハ、RDL、製造工程、長所短所、WLPとの違いを説明する。
FOPLPとは?――大型パネルでFan-Outを作るパッケージ技術
FOPLPの工程とFOWLPとの違いに加え、大型Panelへの価値集中、事業Risk、日本企業の参入モデルまで整理する。
2.5Dパッケージとは?――インターポーザー上で複数チップを高密度接続する
2.5D実装の構造、インターポーザー、Micro Bump、HBMとの関係、長所短所を説明する。
3D実装とは?――半導体チップを縦方向へ積層する技術
3D半導体実装の基本構造、積層方法、TSV、Hybrid Bonding、利点と熱・歩留まり・検査の課題を説明する。