TFTとは?――ディスプレイの各画素を制御する薄膜トランジスタ
TFTの役割、Gate・Source・Drain・半導体膜の構造、a-Si・LTPS・Oxideの違いを説明する。
この記事の結論
- TFTは大型基板上へ薄膜で形成する画素制御用トランジスタ
- LCDでは画素電圧、OLEDでは主に発光電流を制御する
- a-Si、LTPS、Oxideは移動度、均一性、漏れ電流、製造温度が異なる
まず結論
TFTはThin-Film Transistorの略で、GlassやFlexible基板上へ薄膜材料を積み重ねて作るトランジスタです。Displayでは各SubpixelのSwitchまたは電流制御素子として働きます。
シリコンウェハ内へ作るMOSFETと基本概念は似ていますが、大面積基板上へ比較的低温で均一に作る点が大きく異なります。
基本構造
TFTはGate電極、Gate絶縁膜、半導体膜、Source・Drain電極から構成されます。Gate電圧で半導体膜内のChannelを作り、SourceとDrainの間の電流を制御します。
Gateが半導体膜の下にあるBottom-Gate、上にあるTop-Gateなど複数構造があります。光、寄生容量、工程数、材料耐熱性を考えて選びます。
LCDでの役割
TFTをオンしてData線の電圧をPixel電極へ書き込み、オフした後はStorage Capacitorと液晶容量で電圧を保持します。次の書換えまで電圧が保たれることで、画面を安定表示します。
OLEDでの役割
OLEDでは発光素子へ流す電流が明るさを決めます。Switch用TFTだけでなく、電流を制御する駆動TFTや補償回路を各Subpixelへ配置します。
代表的なTFT材料
| 材料・方式 | 主な特徴 | 用途例 |
|---|---|---|
| a-Si | 大面積均一性と量産実績 | 大型LCD |
| LTPS | 高い移動度、回路集積 | Mobile、高精細Display |
| Oxide | 低いOff電流、比較的高い移動度 | 高精細LCD、OLED |
a-Siは移動度が低い一方、大面積で均一に作りやすい特徴があります。LTPSは高性能ですが、Laser Annealの均一性などが重要です。Oxide TFTはIGZOなどが代表的で、低周波駆動による省電力化にも使われます。
a-Si・LTPS・IGZOの膜構成
3方式はGate、Gate絶縁膜、活性層、Source・Drainという基本要素を共有しますが、活性層の材料だけでなく、Gateの位置や活性層を保護する膜、電極を接続する方法も異なります。
- a-Si TFT:Glass上のGate、Gate絶縁膜、a-Si活性層、低抵抗のn⁺ a-Si接触層、Source・Drainを積む逆Stagger型が代表例です。
- LTPS TFT:Buffer膜上のPoly-SiをChannel・Source領域・Drain領域に作り分け、その上へGate絶縁膜とGateを置くTop-Gate型が代表例です。Source・Drain電極は層間絶縁膜のContact Holeを通してPoly-Siへ接続します。
- IGZO TFT:Gate絶縁膜上へIGZO活性層を形成します。図はSource・Drain加工時のChannel損傷を抑えるEtch Stop膜を持つ構造ですが、Etch Stop膜を省くBCE(Back Channel Etch)型やTop-Gate型もあります。
したがって、「a-Si、LTPS、IGZO」は主として活性層材料・方式の分類であり、図の形が一種類に固定される名称ではありません。製造工程を読むときは、材料名と合わせてBottom Gate/Top Gate、Staggered/Coplanar、Etch Stop/BCEなどの構造名も確認します。
TFT性能で見る項目
- Field-Effect Mobility
- Threshold Voltage
- On/Off比
- Off電流
- Subthreshold特性
- Bias・光・温度に対する安定性
- 基板面内ばらつき
個々のTFTが動くだけでなく、数百万以上のSubpixelで特性を揃える必要があります。
半導体MOSFETとの違い
IC用MOSFETは高品質な単結晶Siを使い、非常に微細です。TFTはGlass等の上へ薄膜半導体を形成し、画素Pitchに合わせた比較的大きな素子を広い面積へ作ります。
「Transistorである」という原理は共通しても、材料、寸法、温度制約、装置、評価指標が異なります。
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