ドライエッチングとは?――ガスとプラズマで微細構造を削る

ドライエッチングにおけるラジカル、イオン、化学反応、方向性、RIE・ICP・CCP、選択比と実機パラメータを解説する。

公開 2026/9/1 確認 2026/9/2 読了 8分 中級 執筆: 知識図書館 編集部

まず結論

ドライエッチングは、ガスから作った反応種を利用し、材料の不要部分を除去する加工です。多くの装置ではプラズマによってラジカルやイオンを生成します。

最大の特徴は、ラジカルによる化学反応と、方向を持つイオンの作用を組み合わせられることです。

ラジカルとイオン

プラズマ中には、電子、イオン、中性粒子、励起種、ラジカルなどが存在します。

ラジカルは表面へ吸着し、材料を揮発しやすい反応生成物へ変える化学反応を進めます。正イオンは基板近くのシースで加速され、基板へ比較的垂直に入射します。

この二つを組み合わせることで、開口部の底は削りながら側壁方向の加工を抑える異方性エッチングが可能になります。

化学作用と物理作用

化学反応を強く使うと、材料の反応性の違いを利用して高い選択比を得やすい反面、横方向にも反応が進みやすくなります。一方、イオン衝撃による物理的な除去を強くすると方向性を得やすいものの、マスクや下地も削れやすく、表面損傷が増える場合があります。

実際のプラズマエッチングでは、化学反応とイオン衝撃の配分を調整し、加工速度、形状、選択比、損傷のバランスを取ります。

CCP / RIE / ICP

CCP(容量結合型プラズマ)は、向かい合う電極間の高周波電界でプラズマを生成します。RIE(反応性イオンエッチング)は、化学反応とイオン衝撃を組み合わせて異方性加工を行う考え方です。

ICP(誘導結合型プラズマ)は、コイルに流す高周波電流によって誘導電界を作り、高密度プラズマを生成します。プラズマ生成用の電力と、基板へ入射するイオンのエネルギーを調整するバイアス電力を、ある程度独立に制御できる構成が使われます。

主要パラメータ

  • ガス種と混合比
  • 圧力
  • プラズマ生成電力
  • バイアス電力
  • 周波数
  • 基板温度
  • ガス流量
  • APCによる圧力制御
  • チャンバー壁面の状態
  • 処理時間

これらは独立ではありません。一つの条件を変えると、プラズマ密度、イオンエネルギー、反応生成物、ガス滞留時間など複数の状態が同時に変化します。

実機では単純ではない

同じレシピでも、チャンバー壁への堆積、シーズニング、消耗部品、温度、高周波整合状態によって加工結果が変わることがあります。

大面積FPDでは、ガス、プラズマ、高周波電界の空間分布そのものが重要になります。

プラズマ中のラジカルが材料表面で化学反応を起こし、シースで加速された正イオンが開口部の底へ垂直に入射して異方性エッチングを進める様子
図1 ラジカルによる化学反応と、方向を持つイオンの作用を組み合わせて垂直形状を作る

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