労災制度の全体像

労災保険は、仕事中または通勤中の原因で労働者が負傷・病気・障害・死亡した場合に、治療や休業、障害、遺族などの給付を行う制度です。原則として労働者を1人でも雇う事業に適用され、保険料は原則として事業主が負担します。雇用形態にかかわらず労働者が対象です。

公開 2026/8/5 確認 2026/8/5 読了 12分 初級 執筆: 知識図書館 編集部

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3分で概要が分かる

労災保険は、仕事中または通勤中の原因で労働者が負傷・病気・障害・死亡した場合に、治療や休業、障害、遺族などの給付を行う制度です。原則として労働者を1人でも雇う事業に適用され、保険料は原則として事業主が負担します。雇用形態にかかわらず労働者が対象です。

目的
業務上・通勤による災害を受けた労働者と遺族を保護する
主な対象
事業に使用され賃金を支払われる労働者。雇用形態は問わない
財源・費用
原則として事業主が負担する労災保険料
主な給付・機能
療養、休業、障害、遺族、介護、葬祭などの保険給付
主な根拠
労働者災害補償保険法、労働基準法

ここから先は、仕組み・対象範囲・根拠法令を詳しく解説します。

1. 概要

労災保険は、労働者が仕事または通勤を原因として負傷し、病気になり、障害が残り、または死亡した場合に給付を行う社会保険です。治療費だけでなく、休業中の所得、障害が残った場合、死亡した場合の遺族なども対象とします。正社員だけでなく、パートやアルバイトなども「労働者」であれば対象です。

2. 制度の目的

  • 業務上の災害を受けた労働者へ迅速・公正な保護を行う
  • 通勤による災害についても一定の条件で保護する
  • 被災労働者の社会復帰を促進する
  • 被災労働者と遺族を援護する
  • 事業主に労働者を使用する責任があることを前提に、補償を保険制度として運営する

3. 制度の仕組み

事業主
保険料を負担

労災保険を運営
労働者・遺族
請求
労働基準監督署
調査・決定
災害の区分意味
業務災害業務と傷病等に因果関係がある災害作業中の転落、業務による疾病
複数業務要因災害複数の勤務先での負荷を総合して判断する災害複数就業者の長時間労働等による疾病
通勤災害合理的な経路・方法による通勤中の災害自宅から勤務先への移動中の事故

主な給付は次のとおりです。

  • 療養(補償)等給付:治療を受ける
  • 休業(補償)等給付:療養のため働けず賃金を受けない期間を支える
  • 障害(補償)等給付:一定の障害が残った場合
  • 遺族(補償)等給付:労働者が死亡した場合
  • 葬祭料等、介護(補償)等給付、傷病(補償)等年金など

4. 根拠法令

法令公布年主な内容
労働者災害補償保険法1947年(昭和22年)適用、保険給付、社会復帰促進等事業など
労働基準法1947年(昭和22年)使用者の災害補償責任、安全・労働条件の基本
労働保険の保険料の徴収等に関する法律1969年(昭和44年)労災保険・雇用保険の保険料徴収

5. 適用範囲

原則として、労働者を1人でも使用する事業は労災保険の適用事業です。対象となる労働者は、職業の種類を問わず、事業に使用され、賃金を支払われる人です。正社員、契約社員、派遣労働者、パート、アルバイトなど名称は問いません。

事業主、一人親方、会社役員、家族従事者などは、通常の労働者と同じ扱いにならない場合があります。ただし、業種や立場に応じた「特別加入」が認められる場合があります。

通勤災害は、住居と就業場所の間などを合理的な経路・方法で移動していることが基本です。私的目的の大きな逸脱・中断があると、その間やその後が対象外となる場合があります。

6. メリット

  • 保険料を原則として事業主が負担する
  • 労働者の雇用形態を問わず対象となる
  • 労災指定医療機関等では、対象となる療養について原則として窓口負担なく受けられる
  • 治療だけでなく、休業、障害、遺族、介護など複数のリスクを扱う
  • 事業主に補償能力がない場合でも、国の保険制度として給付を行う

7. デメリット・課題

  • 業務や通勤と傷病との関係について、事実確認と認定が必要になる
  • 心理的負荷、長時間労働、複数要因による疾病などは調査項目が多くなり得る
  • 給付ごとに請求書、医師の証明、提出先が異なる
  • 通勤の経路逸脱や自営業者・役員など、対象判断が難しい場合がある
  • 労災保険給付と会社への損害賠償請求は別の制度であり、調整が生じる場合がある

8. よくある誤解

「会社が加入手続をしていないと労働者は給付を受けられない」
適用事業で働く労働者は、事業主の手続漏れがあっても給付対象となり得ます。

「本人の不注意があれば必ず対象外」
本人の不注意だけで直ちに対象外になるわけではありません。業務上・通勤上の災害かを法令と事実に基づいて判断します。

「健康保険と自由に選べる」
業務上・通勤による傷病には、原則として健康保険ではなく労災保険を使用します。

9. 関連制度

  1. 業務外の病気・けがは健康保険制度を確認する
  2. 障害・死亡に関する公的保障は年金制度も確認する
  3. 認定や損害賠償を争う手続は裁判制度で学ぶ
  4. 労働者を選挙で選ぶ制度ではない点を含め、行政と立法の関係は選挙制度へ進む

10. 更新履歴・参考情報

この記事は2026年8月5日に厚生労働省の労災補償案内を確認して作成しました。事故が起きた場合は、勤務先、医療機関、所轄の労働基準監督署へ早めに相談してください。

よくある質問

アルバイトやパートも対象ですか?

労働者であれば、正社員、パート、アルバイトなど雇用形態にかかわらず対象です。

会社が労災と認めなければ請求できませんか?

労災保険給付を認定するのは労働基準監督署長です。事業主の証明が得られない場合も、事情を伝えて労働基準監督署へ相談できます。

更新履歴

  • 2026/8/5:厚生労働省資料を確認し初版公開

参考資料

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