睡眠は90分周期? 何分単位で寝るのが一番いいのか

NREM睡眠とREM睡眠の周期が、全員一律の90分タイマーではない理由を解説します。

公開 2026/8/12 確認 2026/8/12 読了 7分 初級 執筆: 知識図書館 編集部

この記事の結論

  • 睡眠はNREM睡眠とREM睡眠を周期的に繰り返します。
  • 周期の長さと構成には個人差や一晩の中での変化があります。
  • 90分の倍数へ睡眠時間を削るより、必要な睡眠時間を確保することが重要です。

「睡眠は90分周期だから、90分の倍数で寝ると目覚めがいい」

という話があります。

例えば、

6時間=90分×4
7時間30分=90分×5
9時間=90分×6

だから、

7時間寝るくらいなら7時間30分寝た方が起きやすい

という話です。

睡眠アプリでもよく見かけます。

では本当に、目覚まし時計を90分単位に設定すればよいのでしょうか。

結論:睡眠に周期はある。しかし「全員90分固定」ではない

睡眠前半は深いNREM睡眠が多く、後半はREM睡眠が長くなる一晩の睡眠段階の模式図
図1 一晩の睡眠周期は同じ形のブロックの繰り返しではない

睡眠中、人間はずっと同じ深さで眠っているわけではありません。

大きく、

NREM睡眠REM睡眠

を周期的に繰り返しています。

この部分は本当です。

睡眠周期は成人ではおよそ90~120分程度と説明されることが多く、一晩に複数回繰り返されます。ただし周期の切れ目や長さは一定ではありません。

つまり、

90分は「時計のように正確な周期」ではなく平均的な目安

なのです。

しかも同じ人でも一晩中90分ではない

約90分という平均的な説明から90分の倍数で寝るべきという生活ルールへの飛躍を示す図
図2 平均的な周期は個人の目覚まし時刻を保証しない

睡眠周期は、

  • 年齢
  • 個人差
  • それまでの睡眠状況
  • 一晩の中での時間帯

などによって変化します。

したがって、

22:30就寝

00:00周期終了

01:30周期終了

03:00周期終了

という時計のような動きではありません。

そもそも布団に入った瞬間から90分ではない

さらに問題があります。

「23時に寝る」

と言っても、

23時に布団に入る

実際に眠るのは23時12分

かもしれません。

すると90分計算は最初から12分ずれます。

途中で目が覚めたり、睡眠ステージの構成が変わったりもします。

つまり、

就寝時刻から90分を足して起床時刻を決める方法そのものがかなり粗い

のです。

睡眠周期の中身も毎回同じではない

睡眠前半では、

深いNREM睡眠

が比較的多くなります。

一方、朝に近づくにつれて、

REM睡眠

が長くなる傾向があります。

だから「第1周期」と「第5周期」は、同じ90分程度でも中身が違います。

睡眠を単純な90分ブロックとして積み重ねるのは、この点でも実際の睡眠とは違います。

では「浅い睡眠の時に起きればスッキリ」は?

一定の合理性はあります。

深い睡眠から突然起こされると、

睡眠慣性

と呼ばれる、ぼんやりした状態が強く出ることがあります。

そのため睡眠段階を推定して、浅そうなタイミングで起こすスマートアラームには考え方として一定の合理性があります。

しかし、

90分経過した瞬間=必ず浅い睡眠

ではありません。

ここが「90分睡眠法」の弱点です。

90分単位より重要なこと

睡眠について重要なのは、

十分な睡眠時間と睡眠の質

です。

つまり、

7時間必要な人が「90分の倍数じゃないから」と6時間に削る

のは本末転倒です。

「90分×4=6時間だから完璧」

ではありません。

周期を合わせることより、必要な睡眠時間を確保する方が重要です。

結局、何分周期で寝ればいい?

Q. 睡眠には周期がある?
→ ある。

Q. 約90分?
→ 代表的な目安ではある。ただし各周期には幅がある。

Q. 全員90分固定?
→ 違う。

Q. 同じ人でも毎回90分?
→ 違う。

Q. 6時間、7時間半、9時間にすべき?
→ その必要はない。

Q. 90分単位より重要なのは?
→ 自分に必要な睡眠時間を十分に確保すること。

つまり、

「睡眠には約90分の周期がある」は概ね本当。
「だから睡眠時間を90分の倍数にすべき」は話が飛躍している。

ということになります。

これは雑学として非常に面白い例です。

「平均値」と「個人への最適解」を混同すると、科学的に正しい数字から間違った生活ルールが生まれる。

90分睡眠説は、その典型なのかもしれません。

更新履歴

  • 2026/8/12:公的機関資料と睡眠時間コンセンサスを確認して初版公開。

参考資料

次に読む記事

子育て・教育 / 発達・成長

子どもの癇癪はなぜ起こる?――原因の見分け方から家庭でできる対応・記録・相談まで

子どもの癇癪を、疲労、空腹、睡眠、切り替え、不安、感覚刺激、発達特性、要求行動、身体的不調などに分けて考えます。2週間の記録から原因仮説を立て、一つずつ検証する方法まで解説します。

初級〜中級 ・ 28分