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除湿機は「12L/日」「木造15畳」「衣類乾燥○分」という数字で比較されます。
しかし、除湿能力は室温と湿度で大きく変わります。
夏の30℃・80%RHではたくさん水を取れる除湿機でも、冬の10℃・60%RHでは同じ量を取れないことがあります。
除湿機を選ぶには、まず空気がどれだけ水蒸気を持てるかを理解する必要があります。
1. 相対湿度とは
相対湿度RHは、
相対湿度RH = 実際の水蒸気量 ÷ その温度で飽和する水蒸気量 × 100
の考え方です。
同じ水蒸気量でも温度が変われば相対湿度は変わります。
2. 温かい空気ほど多くの水蒸気を持てる
30℃の空気は10℃の空気より、飽和時に多くの水蒸気を含めます。
そのため夏は同じ60%RHでも、空気中の水分量は冬より多いです。
除湿機が夏に大量の水を取れるのは、空気中にそもそも多くの水分があるからです。
3. 絶対湿度
空気中に実際どれだけ水蒸気があるかを見る指標です。
表し方には、
- g/m³
- g/kg(DA)
などがあります。
除湿量を考えるときは相対湿度だけでなく絶対湿度の方が本質的です。
4. 露点とは
空気を冷やしていき、相対湿度100%に達する温度が露点です。
そこからさらに冷やすと、水蒸気が液体になります。
これが結露です。
コンプレッサー式除湿機は、この原理を利用します。
5. コンプレッサー式
冷媒回路で熱交換器を冷やし、空気を露点以下にします。
水蒸気が結露して水になります。
構造としてはエアコンの除湿と近いです。
得意
- 高温多湿
- 梅雨
- 夏
- 消費電力を抑えやすい
苦手
低温。
室温が低いと熱交換器を十分露点以下へしにくく、霜取りも必要になります。
6. デシカント式
ゼオライト等の吸湿材へ水分を吸着させます。
吸着材をヒーターで加熱して水分を放出し、別工程で凝縮させます。
得意
- 低温
- 冬
- 衣類乾燥
弱点
ヒーターを使うため消費電力が大きくなりやすい。
室温も上がりやすいです。
7. ハイブリッド式
コンプレッサーとデシカントを組み合わせます。
- 夏はコンプレッサー中心
- 冬はデシカント併用
などで年間性能を保ちやすい方式です。
一方、
- 本体が大きい
- 高価
- 構造が複雑
になりやすいです。
8. 「12L/日」とは何か
除湿能力12L/日は、
24時間で最大12L取れる能力
ですが、測定条件があります。
一般にメーカーは特定の室温・湿度条件で測定します。
同じ機種でも50Hz/60Hzで能力が違うことがあります。
したがって12L/日という数字だけでなく、
- 何℃
- 何%RH
- 50/60Hz
を確認します。
9. 実際の部屋で12L/日取れるとは限らない
室内湿度が下がると、空気中から取り出せる水分も減ります。
また密閉室なら一度除湿すると水分は減っていきます。
一方、
- 洗濯物
- 浴室
- 外気侵入
- 人
- 調理
から新しい水分が入ると除湿が続きます。
つまり除湿量は「機械能力」と「部屋への水分流入」の釣り合いで決まります。
10. 部屋の体積から考える
6畳・天井2.4mなら、体積はおおよそ24m³前後です。
例えば30℃・70%RHから50%RHへ下げるだけなら、空気そのものに含まれる水分差は数百g程度です。
それなのに除湿機が1日数L取るのは、
- 壁・布団・家具から水分が放出
- 外気が侵入
- 洗濯物が乾く
からです。
「部屋の空気中の水だけ」を取っているわけではありません。
11. 洗濯物には何kgの水があるか
洗濯後の衣類には数kg単位の水が残っています。
例えば乾燥衣類5kgに対し、脱水後に2〜3kg以上の水が残っていれば、最終的にはその水を空気経由で除湿機が回収する必要があります。
衣類乾燥では部屋の空気量より洗濯物そのものの含水量が支配的です。
12. 衣類乾燥では風が重要
除湿能力だけでなく、
- 風量
- 風向
- 首振り
- 洗濯物配置
が乾燥速度へ効きます。
表面に湿った空気層が残ると蒸発しにくくなります。
風を当てて湿った境界層を剥がすことで乾燥が進みます。
13. 除湿機は部屋を冷やす機械ではない
コンプレッサー式でも、部屋全体としては温度が上がります。
なぜなら、
- 空気を冷やして結露
- 後段で再加熱
- コンプレッサー消費電力が最終的に熱になる
ためです。
密閉室では投入電力分だけ最終的に熱が増えます。
14. デシカント式はさらに室温が上がりやすい
ヒーターを使うため、同じ除湿量でも室温上昇が大きくなりやすいです。
夏の寝室では不利。
冬の洗濯乾燥ではむしろ暖房効果が役立つ場合があります。
15. 消費電力と電気代
例えば300Wを8時間使うと、
0.3kW × 8時間 = 2.4kWh
30円/kWhなら72円/日。
600Wなら同じ8時間で144円/日。
年間使用では差が大きくなります。
16. 除湿効率を見る
単純な除湿L/日だけでなく、
除湿量 ÷ 消費電力
の考え方で見ると効率を比較しやすいです。
ただし測定温湿度条件が違えば直接比較できません。
17. タンク容量
12L/日能力でもタンクが2Lなら、満水で6回分です。
実際には湿度が下がれば除湿量は減りますが、長時間無人運転ではタンク容量が重要です。
18. 連続排水
ホースで直接排水できる機種なら、
- 地下室
- 脱衣所
- 長期留守
- 室内干し
で便利です。
ただし排水先より高い位置へ水を上げられない自然排水型が多いため、勾配を確認します。
19. 騒音dB
dBは対数です。
音圧レベルで10dB差は大きな差です。
寝室なら、
- 弱運転
- 40dB前後以下
などを一つの参考にします。
衣類乾燥強モードは50dB以上になる製品もあります。
20. エアコン除湿との違い
エアコンも冷却によって結露させます。
違いは、エアコンは室外機へ熱を捨てられることです。
そのため冷房・除湿しながら室温を下げられます。
一方、除湿機は室内に熱を戻すので室温は上がります。
21. 再熱除湿
エアコンの再熱除湿は、一度冷やして除湿した空気を再加熱し、室温低下を抑えます。
快適ですが、再加熱分のエネルギーが必要です。
「除湿=必ず省エネ」とは限りません。
22. 梅雨・夏に向くのは
高温多湿ならコンプレッサー式が有力です。
- 除湿量
- 電気代
- 室温上昇
のバランスがよいです。
23. 冬の室内干しに向くのは
低温時はデシカント式またはハイブリッドが有利です。
ヒーターで室温が上がることも乾燥を助けます。
24. 浴室・脱衣所
湿度が非常に高い環境では除湿能力を使いやすいです。
ただし浴室内そのものへ設置できるかは防水仕様を確認します。
通常の除湿機を濡れる場所へ置かないこと。
25. カビ対策
カビは高湿度が長時間続くと繁殖しやすくなります。
一般的にはRH60%前後以下を維持するとリスクを抑えやすくなります。
ただし表面温度が低い場所では局所的に相対湿度が上がるため、室内RHだけで完全判断はできません。
26. 過剰性能になりやすいもの
小部屋で20L/日級
すぐ目標湿度へ達し、能力を使い切らないことがあります。
夏だけなのにデシカント大型機
電気代が増えやすいです。
タンクが小さい高能力機
頻繁な排水が必要です。
27. 結局どこを見る?
①使う季節 → ②室温 → ③部屋/洗濯物 → ④方式 → ⑤L/日測定条件 → ⑥消費電力 → ⑦風量 → ⑧タンク/連続排水 → ⑨騒音
の順です。
除湿機は「最大何L取れるか」ではなく、自分の温湿度条件でどれだけ効率よく水を取れるかで選びます。
購入直前チェックリスト
- 相対湿度と絶対湿度の違いを理解した
- コンプレッサー/デシカント/ハイブリッドを用途で選んだ
- L/日の測定温湿度条件を確認した
- 冬の低温性能を確認した
- 消費電力を確認した
- 衣類乾燥なら風量・風向を確認した
- タンク容量を確認した
- 連続排水の可否を確認した
- 室温が上がることを理解した
- 寝室なら騒音dBを確認した
- エアコン除湿との役割差を理解した
参考資料
- JIS C 9617 除湿機
- 各社除湿機仕様書