男性にも更年期はある? 女性の更年期とは何が違うのか
男性更年期と呼ばれるLOH・男性性腺機能低下症を、女性の閉経との違いと診断条件から解説します。
この記事の結論
- 男性性腺機能低下症・LOHは存在しますが、女性の閉経と同じ節目ではありません。
- 診断には症状と持続的なテストステロン低値の両方が必要です。
- 一回の測定や疲労感だけでは診断できません。
「女性には更年期がある。では男性にもあるのか?」
よく「男性更年期」という言葉を耳にします。
結論から言えば、加齢などに伴うテストステロン低下と症状を伴う男性性腺機能低下症は存在します。
ただし女性の閉経とまったく同じ現象ではありません。
結論:「男性更年期」に相当する状態はあるが、全男性に一斉に起こる節目ではない
医学では、成人男性に症状と持続的なテストステロン低値が認められる状態を、男性性腺機能低下症やlate-onset hypogonadism(LOH)などとして扱います。
EAU(欧州泌尿器科学会)はLOHについて、症状と生化学的なテストステロン低値の両方が必要だとしています。
一方、女性の閉経は卵巣機能の変化に伴い月経が終了する明確な生理的節目です。
男性には、それに対応する「ある年齢で生殖機能が一斉に切り替わる瞬間」はありません。
男性のテストステロンは加齢に伴って平均的には低下します。
ただし低下の程度には大きな個人差があり、肥満、慢性疾患、薬剤、睡眠や全身状態なども影響します。
そのため、
年を取った男性=全員男性更年期
ではありません。
どんな症状がある?
LOHで比較的特徴的なのは、
- 性欲低下
- 勃起機能の低下
- 朝の自然な勃起の減少
などの性的症状です。
そのほか、
- 疲労感
- 意欲低下
- 気分の変化
- 筋力低下
- 集中しにくい
- 睡眠の問題
などがみられることもあります。
ただし、これらは睡眠不足、ストレス、うつ状態、肥満、他の病気などでも起こります。
症状だけで「男性更年期」と診断することはできません。
テストステロンを一回測れば分かる?
これも違います。
テストステロン値には日内変動があります。
Endocrine Societyは、症状に加えて、正確に測定されたテストステロンの持続的な低値を確認する必要があり、早朝・空腹時の測定を別日に繰り返すことを重視しています。
2026年の同学会声明でも、症状だけでは診断できず、少なくとも2回の早朝測定が重要と改めて強調されています。
「疲れているからテストステロンを打つ」は違う
テストステロン補充療法は、適切に診断された男性では治療選択肢になります。
しかし「最近元気がない」「年齢が上がった」というだけで使用する薬ではありません。
診断、原因検索、治療の利益とリスクの評価、治療中のモニタリングが必要です。
まとめ
Q. 男性にも更年期はある?
→
「男性更年期」と呼ばれる症状群に対応する男性性腺機能低下症・LOHは存在します。
Q. 女性の更年期と同じ?
→ 同じではありません。
Q. 年齢だけで診断できる?
→ できません。
Q. 症状だけなら?
→ 不十分です。持続的なテストステロン低値の確認が必要です。
この雑学のポイント
「男性更年期」という言葉は分かりやすい一方、女性の閉経と同じ現象のように聞こえてしまいます。
実際には、
女性の閉経という明確な生理的移行と、男性の徐々で個人差の大きいホルモン変化は別物。
分かりやすい名前が、身体の仕組みまで同じにしてしまう好例です。
更新履歴
- 2026/8/12:EAU・Endocrine Society資料を確認して初版公開。
参考資料
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