地球の中はどうなっているのか?――誰も見たことのない地球内部をどう調べたのか

地殻・マントル・外核・内核を、人類はなぜ知っているのか。地震波、密度、磁場、高圧実験から地球内部を推定する方法を解説する。

公開 2026/9/3 確認 2026/9/3 読了 5分 一般 執筆: 知識図書館 編集部

この記事の結論

  • 地殻・マントル・外核・内核を、人類はなぜ知っているのか。地震波、密度、磁場、高圧実験から地球内部を推定する方法を解説する。
  • 地球科学の主要な仕組みと、よくある誤解を分けて理解できます。
  • 現在分かっていることと、まだ科学的に確定していないことを区別して解説します。

地球の中はどうなっているのか?――誰も見たことのない地球内部をどう調べたのか

地球の半径は約6370km。

人類が掘削した最深級の穴は十数km程度である。

比率で考えれば、私たちは地球の内部をほとんど直接見ていない。

それなのに教科書には、地殻・マントル・外核・内核という断面図が当然のように載っている。

なぜ、見たことも掘ったこともない場所の構造が分かるのだろうか。

答えの中心にあるのが地震波である。

地球は平均すると表面の岩石より重い

地球内部に重い物質があることは、地震学以前から予想されていた。

地球全体の質量と体積から平均密度を求めると約5.5g/cm³程度になる。

しかし地表付近の岩石の多くはこれよりかなり軽い。

つまり、内部には表面岩石より密度の高い物質が存在しなければ計算が合わない。

この時点で「地球内部は均一な岩石の球ではない」と分かる。

地震は天然の超音波検査

地震が起きると、地球内部をさまざまな波が伝わる。

代表的なのがP波S波である。

P波は縦波で、固体・液体のどちらも伝わる。

S波は横波で、液体中を伝わらない。

さらに波の速度は、物質の密度や弾性率によって変わる。

世界各地の地震計で、どの波がどの地点へ何秒後に届いたかを測ると、地球内部を通った経路を逆算できる。

医療のCTや超音波検査の巨大版に近い。

地殻とマントルの境界

20世紀初頭、地震波速度が地下のある深さで急に変わることが発見された。

この境界が**モホロビチッチ不連続面(モホ面)**である。

大陸下では地殻が数十km程度の厚さを持つ一方、海洋地殻は一般により薄い。

地殻の下はマントルである。

「マントルはマグマ」は間違い

地球断面図ではマントルが赤く描かれることが多い。

そのため「地殻の下は巨大なマグマの海」と思われがちである。

しかしマントルの大部分は固体である。

ただし非常に高温で、地質学的な長時間尺度では粘性流体のようにゆっくり変形・流動する。

短時間では固体だが、長い時間では形を変える。

この性質がプレート運動と深く関係する。

なぜ外核が液体だと分かるのか

地球の反対側まで地震波を追うと、S波が届かない領域がある。

S波は液体を通過できない。

またP波も核付近で大きく屈折する。

この観測から、地球中心付近には液体層があることが分かった。

これが外核である。

外核は主に鉄を主体とする液体金属と考えられている。

内核は固体

さらに解析すると、地球中心部には再び固体領域が存在することが分かった。

これが内核である。

「中心ほど熱いのに、なぜ固体なのか」という疑問が出る。

理由は圧力である。

地球中心では極端な高圧となり、高圧では鉄の融点も大きく上昇するため、非常に高温でも固体として存在できる。

地球中心の温度はどう推定するのか

地球中心に温度計を入れたことはない。

そこで、

  • 高圧実験
  • 鉄合金の融解条件
  • 地震波
  • 熱力学モデル
  • 地球の熱流量

などを組み合わせて推定する。

内核中心付近はおよそ5000~6000℃規模と考えられており、太陽表面温度に近い。

ただし数字には推定幅がある。

重要なのは、地球内部の値の多くが「直接測定値」ではなく、複数の独立した観測と物理法則から制約された推定であることだ。

地球内部はなぜ熱いのか

地球内部の熱には複数の起源がある。

一つは地球形成時の熱。

微惑星が衝突・合体した際の運動エネルギーや、重い元素が中心へ沈む際の重力エネルギーなどである。

もう一つ重要なのが、ウラン、トリウム、カリウムなどの放射性同位体の崩壊熱である。

地球は46億年経った現在も内部から熱を放出し続けている。

地磁気は地球内部を見るもう一つの手掛かり

地球は巨大な磁石のような磁場を持つ。

しかし内部に永久磁石が埋まっているわけではない。

現在の有力な説明は、液体外核の導電性金属が流動し、地球自転などと組み合わさることで電流が生じ、磁場が自己維持される地球ダイナモである。

地磁気の存在そのものが、外核が導電性の液体であることと整合する。

科学は「見たもの」だけを扱うわけではない

地球内部研究は科学の考え方をよく示している。

直接見ることができなくても、波の伝わり方、重力、磁場、熱、岩石の化学組成、高圧実験など複数の証拠が同じ構造を指すなら、強い推定が可能になる。

「見ていないから分からない」ではない。

同時に、「推定なのだから何でもあり」でもない。

観測と矛盾する内部モデルは排除される。

まとめ

人類は地球中心へ行ったことがない。

それでも地震波という天然の探査信号を使うことで、地球が層構造を持つことを突き止めた。

地殻の下には固体だがゆっくり流れるマントルがあり、その下には液体外核、さらに固体内核がある。

地球は表面だけを見ると静かな岩石の球に見える。

実際には内部で熱が流れ、金属が動き、マントルがゆっくり循環する活動中の惑星なのである。

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参考資料

  • U.S. Geological Survey (USGS), “The Interior of the Earth”

更新履歴

  • 2026/9/3:受領原稿を現行の記事スキーマへ変換し、宇宙・地球カテゴリの記事として公開。

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